アメリカは広大で州ごとに気候、風土、法律などが違います。さらに人種、宗教、など背景となる文化、習慣が違う人たちが大勢暮らしています。そこに貧富の差や世代(移民1世、2世、3世)による違いなど複雑な要素が入ってきますので、人によって教育に対する考え方や、お金に対する価値観は全く違います。
下記の記事はあくまでひとつの傾向です
そういうわけで一概に「アメリカは○○である」と言うことはできません。「南カリフォルニアに住む、裕福ではないが日常生活できる程度の経済力を持つ家庭」における、ひとつの傾向と思って読んで頂ければと思います。
アメリカの大学は学費が高い
アメリカの大学は学費が異常に高く、さらに年々学費が値上がりしています。そのために一般家庭で育った学生はあまり有名大学を目指していないようでした。そのような学生は有名大学を目指すというより、奨学金を提示してくれる大学を選ぶケースが目に付きました。
州立大学で6万ドル、私立大学で20万ドル
アメリカのニュース番組で卒業するまでの学費の平均は州立大学で6万ドル、私立大学で20万ドルかかると報じていました。1ドルを120円で換算すると州立大学で720万円と私立大学で2400万円ですから大金です。信じられないかもしれませんが、知名度のない私立大学でも卒業までに20万ドルかかることがあるので、さらに学費の高い大学があっても珍しくはないと思われます。
学費はリスクなのか?
リーマンショック以前は有名大学を卒業すると年収が他の大学と比べて高いと言われていました。しかし今や有名大学を卒業しても仕事が無いケースも考えられるので、有名大学を卒業することがリスクになっていると考える人も増えてきています。なぜならアメリカで有名大学と呼ばれる学校は私立大学が多いので、上記に書いたように学費が異常に高いからです。
自立しているから学費を自分で払うのか?
日本では「アメリカの学生は自立しているから学費を自分で借金して払う」と言う話をよく聞きますが、残念ながらアメリカの学生にどれくらい自立心があるのか確認できていません。通常の学生は「家庭のお金を集めても有名私立大学に行くような学費は払えない」状況だと思います。そもそも学生の親自身が自分の学生ローンを払い終えなくてはなりません。ローンを払い終えた頃に自分の子供が学生ローンをくむ頃だったりすると、親が子供の学費をすべてサポートすることは難しいかもしれません。個人的には「自立心の差」と考えるより、日本とはシステムと慣習が違うというと考えた方が理解しやすいと思います。
学費は自分で借金する
一般家庭の学生は学費の安い州立大学、もしくは奨学金を出してくれる大学に入学し、足らない学費は借金する方法をとります。アメリカの場合は学生ローンが充実しているので借金することは普通のことですが、卒業後に返済しなくてはならないので学生にかかるプレッシャーは大きいと思われます。
さらに学費をおさえるために
コミュニティーカレッジから大学へ編入
さらに学費をおさえ、学生ローンを小さくするためにコミュニティーカレッジに入学する方法があります。コミュニティーカレッジで単位を取得してから大学へ編入することで、大学での学費をおさえることができます。コミュニティーカレッジによりますが、講義を担当する講師は私立大学と兼務していることが多く、なかには有名私立大学の講師が担当するクラスもあるのでお得です。
自宅から通える州立大学を選ぶ
ちなみにコミュニティーカレッジの学生たちは「自宅から通える州立大学」を希望するケースが多く、交通費と時間を無駄にしたくないので「自宅から大学までの距離が近い大学を」選択する傾向があります。たぶん学生の頭の中は「自立」よりも「学費をおさえる」ことでいっぱいなのでしょう。
留学生の学費はさらに高い
州立大学を卒業するまでにかかる学費は720万円と書きましたが、この金額はその州立大学と同じ州に住んでいる住民のケースです。なので他の州から入学する人や、海外からの留学生は住民以上の金額を支払わなければなりません。州立大学によっては私立大学なみに学費が高いケースもあります。
有名私立大学に入った方がいいケースもある
専攻する学科によっては有名私立大学に入らないと仕事に就くことが難しくなってしまうケースもあると思います。そのような場合は私立大学でも入学した方がいいかもしれません。ただしリーマンショック以後はその仕事に就ける保証はないので、よく考えた上で決断した方がいいでしょう。
強者を見習うといいかも?
学費が無くてもうまく切り抜けた強者もいるので見習うといいかもしれません。長い人生どんなチャンスが転がってくるかわかりませんから、お金が無くてもポジティブにチャレンジし続けないといけませんね?
アートセンター・オブ・カレッジの話
カーデザインで有名なアートセンター・オブ・カレッジでは学費が払えなくなってしまい退学する学生が多いと言われています。アートセンターを中退したデザイナーが言うには「大学のコネクション」と「厳しいトレーニングで身に付けた技術」があるので中退でも仕事に就けると言っていました。ただしリーマンショック以前の話なので、現在もアートセンター中退というキャリアで企業に通用するのかわかりません。
ホルヘ・グティエレスの話
アニメーターでもあり、『ザ・ブック・オブ・ライフ』の監督でもあるホルヘ・グティエレスさんはアニメーションで有名な大学CalArtsを卒業しています。しかしホルヘさんが大学に入学した時には1年間の学費しか準備できなかったそうです。そこで彼は「1年間で全部の単位を取得すればいいじゃないか!」と考え、実行したそうです(笑)。ハードなスケジュールをこなした結果、翌年から奨学金をもらうことで学校に残ることができたと話していました。超ポジティブで超クレージーな考え方ですが、考え方ひとつで人生を大きく変えることもできるようです。