世界中のビジネスマンが商談したり、家族が遊びに行くのがIR(統合型リゾート)です・・・と書いても現在の日本ではいまいちピント来ないと思います(笑)。ひょっとすると「子供がカジノにいるのか?けしからん!」という誤解もあるかもしれません。まだまだ日本にはなじみのないIRとカジノの違いを解説した本が『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?』です。
書籍『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?』
高城 剛さんの著作『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?』はカジノが設立した歴史的背景から、現在主流となってきているIR(統合型リゾート)の現状をレポートしています。またこの本では各国の現状と問題点をふまえたうえで、日本がどのようにIRを導入すべきなのかについても提言しています。
ギャンブラーでなくても、ラスベガスに行ったことが無い人でもカジノとIRの違いを理解でき、IRが地域経済を根本から変える起爆剤になる可能性があることを理解できると思います。ただし成功するためのハードルは高いけど(笑)。
各国のカジノとIRの現状
この書籍ではラスベガス、シンガポール、マカオ、マニラ、フランスなどのカジノとIRについての現状がわかりやすく解説してあります。特にシンガポールのIR導入事例は国の政策を大きく後押しするほど重要な存在となっていることがわかります。またヨーロッパにおけるカジノの成り立ちや、どのようにしてカジノからIRへ変遷したのかについても詳しく解説されているので、カジノに行ったことが無い人でもカジノとIRの違いを理解できるように書かれています。
カジノの問題点と衰退
この本は単純にカジノを推進している立場ではないので、日本がギャンブル依存症を多くかかえている問題、マカオ、マニラが抱えているマネーロンダリングの問題、フランスがIRに移行できない理由、アトランティックシティやレイクラスベガスの失敗なども書かれています。これらのレポートを読むとカジノの導入、もしくは中途半端なIRの導入では失敗する可能性が高いことがうかがえます。
廃墟を活用したサンズ・ベツレヘム
この本はカジノやIRをテーマにしているのにもかかわらず、ラスベガスやシンガポールの華やかな写真は掲載されていません。本を開くと・・・なぜか巨大な工場の跡地の写真が1枚掲載されているだけです。本を読みながらもこの写真は何だろうとずっと気になっていましたが、この謎が最後に明かされます。
この巨大な工場の跡地を活用したIRがサンズ・ベツレヘムだそうです。まるでスチームパンクの映画でも見ているような巨大工場跡地だけでもすごいのに、この廃墟を背景に無料のミュージックフェスが3週間開催されるそうです。IRはアイディアしだいで地方創成にも活用できることが提示されています。
日本はどのようにIRを導入するべきか
高城 剛さんはシンガポールのようにIRを「外国人による外国人のためのIR施設」として導入することを提言しています。しかもアジア各国でIRが開発される状況にあるので、誰もが圧倒されるような施設を作り、レストランやエンターテインメントなども独特で魅力あるものでなくてはならないとしています。なので旧来型の日本のやり方だけではラスベガスやシンガポールのような大きな経済効果は作りだせず、失敗する可能性があることを指摘しています。
ちなみに私としても高城 剛さんの提言は賛成です。ただしIRの競争は年々厳しくなっていくので、本当に日本がIRを有効活用できるのか疑問は残ります・・・特に2020年の東京オリンピックのごたごたを見ているとね(笑)。
英語力の問題
シンガポールのようなIRを導入するにあたり、問題になるのは日本人の「英語力の低さ」だそうです・・・。たしかに「外国人による外国人のためのIR施設」ならば最低限は英語が喋れないとサービスできませんよね。
私もラスベガスやシンガポールで遊べるように、ちゃんと英語の勉強をしようと思います(笑)。
カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?
出版社: 集英社
著者: 高城 剛