子供の早期英語学習の効果について解説した書籍『英語学習は早いほど良いのか』


バトラー後藤裕子さんの著書『英語学習は早いほど良いのか』を読みました。早くから子供たちに英語を学ばせることの効果について、学術的な面から解説した書籍です。「臨界期」という概念を中心にさまざまな研究結果とその研究結果の問題点を読んでいくうちに、早期英語学習よりも大切な要素があることに気づかせてくれる本です。

英語学習は早いほど良いのか (岩波新書)

臨界期について

この書籍は子供の頃から語学学習を始めればネイティブスピーカーのように話せるようになるのか?という問題を「臨界期」という概念を探ることで解き明かしています。臨界期とは、ある一定の年齢までに言語学習を行っておかなければならないとする考え方ですが、研究者によって定義が異なり、簡単な問題ではないことがうかがえます。

臨界期よりも大切なこと

読者はさまざまな研究結果を見ていくうちに「どうやら臨界期だけが問題ではない」と言うことに気がついてくると思います。著者は「ある特定の時期を臨界期として特定するのは無理」だと考え、「年齢がたの要因と複雑かつダイナミックな相互作用を繰り広げている」と提案し、外国語学習における年齢の問題よりも大切なことについて第6章と第7章でまとめられています。(補足:著者は言語学習は「早く始めた方がいいという気がしてくる」としながらも「早ければ早いほど良い」という考えではない)